近年、スマートフォンの普及で、写真撮影が身近なものとなりました。
そうした背景の中、スマートフォンでの撮影に満足できず、一眼レフカメラを手に入れる方も増えています。
しかし、多くの家庭には、専用のカメラが存在しないことも珍しくありません。そのため、「カメラを正しく扱った経験がない」と感じる方もいるでしょう。
そこで今回は、カメラに慣れていない方を対象に「写真の撮影方法」について詳しく紹介していきます。
写真撮影のコツ:ぼかしの効果を深く知ろう!
多くの方が憧れる写真の一つとして、「背景が綺麗にぼかされた画像」があげられますね。
ここでは、その「ぼかし」の原理や、美しいぼかし効果を得るための4つのポイントについて紹介していきます。
写真における「ぼかし」の意味
写真における「ぼかし」とは、ピントが合っていない部分を示す表現です。
ピントが合っていない写真を「ピンぼけ」と称することもあります。しかし、意識的にレンズの焦点を外して、被写体の前の部分や背後が優雅にぼやけていることを指すこともあります。
前方のぼかし部分を「前ぼけ」、後方のぼかし部分を「後ぼけ」と呼ぶのが一般的です。
写真のぼかし具合を左右する4つのポイント
写真における魅力的なぼかしを表現するためには、「F値(絞りの数値)」、「被写体と背景との間の距離」、「焦点の長さ」、「撮る際の距離」の4つのポイントを把握しておくことが重要です。
この4つのポイントを、詳しくみていきましょう。
F値(絞りの数値)
F値、すなわち絞りの数値は、レンズを通過する光の量を示す指標となります。
F値が低いと、レンズを通る光の量が多くなり、明るくぼかしの効果が強まる写真が撮れます。
一方、F値が高い場合は、レンズに入る光の量が少なくなり、暗めでぼかしの効果が控えめな写真となります。
被写体と背景との間の距離
焦点を合わせる被写体の位置と、その前後の空間が離れていれば、ぼかしの効果は一層際立ちます。
たとえば、人物や物体をメインに、その周囲を強くぼかしたいと思ったとき、被写体とその周囲の空間の距離を取ることで、より効果的なぼかしを得ることが可能です。
焦点の長さ
レンズの焦点の長さは、レンズからイメージセンサーまでの距離を示すものです。この焦点の長さが短ければ、画面の視野が広がり、長いと視野が狭まります。
焦点の長いレンズは、背景をぼかしやすいのが特性です。深いぼかしの効果を追求する際には、望遠レンズでの撮影をおすすめします。
撮る際の距離
カメラが被写体に接近すると、焦点となる部分以外はくっきりと映らなくなります。
そのため、カメラを被写体に近寄らせることで、焦点を絞った部分以外がぼかされた写真が撮れるようになります。
写真の撮影方法:効果的な撮影モードを選ぼう!
初めてカメラを使用する方は、その多彩なモードがどういったものか疑問に思うことでしょう。常にAUTOやPモードで撮影している方も少なくないはずです。
ここでは、各カメラメーカーが提供する主な撮影モードについて説明いたします。
AUTOモード(全自動設定)
このモードでは、カメラが全ての調整を自動で担当してくれます。カメラの操作にまだ馴染んでいない方なら、最初に試してみることがおすすめです。
確かに、設定の手間が省ける便利さがあります。しかし、一方では理想とする仕上がりに難しいというデメリットがあるモードです。
Pモード(プログラム自動設定)
このモードは、F値とシャッタースピードの調整をカメラが自動で行ってくれます。自分で露出設定を行うのが難しいが、カメラの操作に徐々に馴染みたい方に向いているモードです。
ISO感度やホワイトバランスの変更は手動で可能なので、暗い場所での撮影や、自分の思い描くイメージに合わせた写真撮影が実現できます。
しかしながら、F値は自動設定となるので、背景や前景のボケ具合をコントロールするのが難しくなる点が欠点でしょう。
A・Avモード(絞り優先設定)
ボケ味のある写真の表現を望む際には、この設定を選択するとよいでしょう。
A・Avモードでは、シャッタースピードを除く各種設定が手動で変更できます。絞り値・ISO感度・ホワイトバランスなどを自らの好みに合わせて撮影が可能です。
深いボケを得たい場合、絞り値を開放にして撮影してみましょう。
シャッタースピードが低いなら、ISO感度を順次上昇させ、手ブレのない適切な値を見つけることが大切です。
Mモード(マニュアル操作設定)
Mモードでは、各種撮影設定をユーザーが自由に調整することができます。
このモードは、上級者に特に適しており、カメラの自動設定に頼らず、自らの意志で撮影を行いたい方に向いています。Mモードの特長として、一度決めた設定を維持しての撮影が可能です。
主な設定項目として「絞り値・シャッタースピード・ISO感度」があり、測光による明るさの変動が影響しづらいのも特長の一つです。
露出の調整が不要なので、一度操作に慣れれば、迅速に撮影を行うことができます。
マニュアルモードの活用法!一眼レフカメラの設定ステップ
全自動設定で基本操作を習得し、Pモードや絞りA・Avモードで設定変更の練習をした後に、次のステップとしてマニュアルモードへと進むのがおすすめです。
しかしながら、どのような流れで設定を進めればよいか迷う方も少なくないでしょう。
そこでここでは、マニュアルモードを効果的に活用する際の一眼レフカメラの設定方法を解説していきます。
1.ホワイトバランスの調整方法
光源の特性に応じて、適切なホワイトバランスを選択することが大切です。
たとえば、屋内の場合は「白熱灯モード」や「蛍光灯モード」、晴天時の外部や明るい室内では「太陽光モード」、一方で、曇った日の外部では「曇天モード」と、撮影するシチュエーションに合わせて変更します。
また、特定の雰囲気を出したいときは、意図的にホワイトバランスを通常とは異なる設定にすることもおすすめです。太陽光モードを用いると温かみのある赤みが出る一方、蛍光灯モードでは青味が強調されてクールな印象になります。
ホワイトバランスを適切に利用することで、同じ被写体であっても異なる表現が可能です。
2.ISO感度の適切な選択
ホワイトバランスの調整の後、ISO感度の設定が続きます。
クリアでノイズが少ない写真を望むならば、ISO感度はできるだけ低めに保つことが推奨されます。撮影の場面や照明の状況により、以下のような設定値が参考になります。
- 日差しが強い場所:ISO100~200
- 曇天や日陰の下:ISO200~400
- 雨天:ISO400~800
- 室内の明るい場所:ISO400~800
- やや暗めの部屋:ISO800~1600
- 非常に暗い場所:ISO1600~ISO3200
- ほとんど光がない外部:ISO3200以上
3.F値(絞り値)の調整方法
絞り、またはF値の設定に移ります。これにより写真の明るさや背景のボケ具合をコントロールします。
光の不足している暗いシチュエーションでは、絞りを開放し、その後必要に応じて少しずつ閉じていきます。人物や料理のように、主要な被写体を強調し背景をぼかしたい場合、F2.8~5.6程度の低いF値が適しています。
逆に、景色や多人数の集合写真で背景も鮮明に写したい場合は、F8~F11の範囲で設定すると、写真全体にピントが合った結果になります。
特別な意向がなければ、開放から2段階ほど絞るのが基本的な推奨です。これによりピントが取りやすく、画像全体でクオリティの低下が少なくなります。
4.適正な露出のためのシャッタースピードの調整
露出計は、目の前のシーンの輝度を判定するツールです。
カメラのディスプレイ上で、-3、2、1、0……などという数字として露出計が表示されます。また、ファインダーを利用する際、下部にその数値が現れます。
シャッタースピードを調整することで、露出計の値が変動します。目指すべきは、目盛りが0の位置に来る、つまり「適切な露出」となる状態です。
手振れを避けるため、1/60秒以上の速さでシャッタースピードを設定することが望ましいです。
もし撮影結果が暗くなったり、焦点が合わない場合、初めのステップに戻って設定を見直すことをおすすめします。
おわりに:一眼レフカメラの操作の要点
今回は、一眼レフカメラでの撮影時のモードや手順に関して詳しく解説いたしました。
一眼レフを始めたばかりの方々は、「F値」や「シャッタースピード」、「ISO感度」など、初めて耳にする用語に圧倒されるかもしれません。
しかし、これらは単に明るさの調整やピントの範囲のコントロール、シャッターの動作時間を変える手段に過ぎないのです。実践を積むことで、さまざまな場面で適切に設定する技術を身につけることができます。
また、写真の魅力は同じ風景でもさまざまな表現が可能な点にあります。
自分の想い描く理想の写真を実現するために、多様な設定を試行錯誤しつつ、順次マスターしていきましょう。