麦わら帽子と聞くと、夏の日に子供がかぶる帽子と考えてしまう人も多いかもしれないですね。
暑い夏の日に麦わら帽子をかぶって虫取りに出かける子供たち。とっても絵になる情景です。
でも今や麦わら帽子は、大人の男性や女性の夏のファッションアイテムとしてとても人気があるんです。
この記事では、そんな麦わら帽子のあれこれを紹介しています。
ぜひ参考にしてください。
麦わら帽子の良いところって?
麦わら帽子はその名前の通り、天然素材の麦わらで作られています。
その麦わらは1本1本が空気を含んでいます。その空気の層が断熱効果を発揮して、直射日光の熱から頭を守ってくれるんです。
また、麦わらを編んで作られているので通気性も抜群で熱がこもらないんですね。
そのうえ麦わらは紫外線にも強いのです。
これほどに、暑い夏にピッタリな帽子はほかには考えられないほどです。
麦わら帽子に男性用と女性用ってあるの?
結論からいってしまうと、現代では男性用と女性用の違いを気にしている人はほとんどいません。
違いなど気にせずに、自分に似合うお気に入りの麦わら帽子を選んでかぶっている人がほとんどです。
ですので今は、麦わら帽子は男女兼用と考えるのが普通ですね。
ですが、じつをいうと男性用と女性用の違いはひと目で分かるように作られているのです。
その違いは麦わら帽子に巻いてあるリボンの結び目(ワタリ)の向きです。
結び目が左側にあればメンズ用、右側にあればレディース用というのが昔からの男性用、女性用の見分け方です。
ただ先ほどもいいましたように、今はその違いを気にしている人はほとんどいません。
今は帽子に巻いてあるリボンの色や、コサージュ(花飾り)またはチャームなどで、女性らしさなどを演出するのが一般的になっています。
麦わら帽子の各部の名称
麦わら帽子には各々の部分に下図に示したような名称があります。
- クラウン
頭にかぶる部分の名称です。 - ブリム
一般に「つば」と呼ばれている部分です。 - リボン
クラウンの下に巻いてあり、さまざまな色や太さがあります。 - ワタリ
リボンの結び目のことです。
このワタリが左にあるか右にあるかで、男性用か女性用かを見分けることができます。 - エッジ
ブリムのふちのことです。 - スベリ
クラウンの内側についていて、ひたいに触れる部分です。
汗で汚れやすいので、お手入れの時には丁寧に拭きとりましょう。
麦わら帽子の種類
カンカン帽
わらをニスで塗り固めているためとても固く、たたくと“カンカン”と音がします。
その音が名前の由来といわれています。
トップクラウン(天井)とブリムが平らで、クラウンは円筒形です。
明治時代から昭和初期に流行していました。
歌手の西野カナさんがかぶっていたのがきっかけで、現代では若い女性に人気があります。
パナマハット(中折れハット)
パナマ草で作られていて、エクアドルに起源を発します。
トップクラウン(天井)が谷型にへこんだ形になっているのが特徴で、正面から見るとM字型になっています。
戦前の日本ではカンカン帽とともに紳士の正装用として使われていました。
スラウチハット
幅の広いブリム(つば)が特徴で、ふちが垂れたようになっています。
女優のグレタ・ガルボが愛用していたことで広まったため、「女優帽」とも呼ばれています。
かわいらしい女の子が麦わら帽子をかぶって風に吹かれているようなイラストでは、ほとんどがこのスラウチハットをかぶっていますね。
テンガロンハット
カウボーイハットの一種です。
高いクラウンと幅広いブリムが特徴で、飾りひもがつくことも多くあります。
ブリムが上に反っていることも特徴です。
麦わら帽子の素材
麦わら帽子はさまざまな素材で作られており、一般的にはそれらを総称して「麦わら帽子」と呼ばれています。
天然素材
-
麦わら(麦稈(ばっかん))
麦わらで作られたものは「ストローハット」とも呼ばれます。
しなやかさと丈夫さを併せ持っているのが特徴です。 -
パナマ
エクアドル産のパナマ草が使われます。
パナマで作られたものは「パナマハット」とも呼ばれていて、細かく編み込まれているものほど高級品になります。 -
ラフィア
ヤシ科の植物ラファイアから作られる素材です。
とても頑丈な麦わら帽子が作れます。 -
その他
アバカ(フィリピン)、シゾール(メキシコ・中央アメリカ)など、各地に麦わら帽子に適した植物が育成されており、その特徴を生かした素晴らしい麦わら帽子が作られています。
人工素材
-
ペーパー(紙繊維)
価格を安く抑えることができるのが一番のメリットでしょう。
染めやすいという特徴から、カラフルな麦わら帽子を作ることが可能ですが、水に弱いという欠点もあります。
この素材で作られたものは「ペーパーハット」とも呼ばれます。 -
ビニール
水に強いという特徴があり、以前は雨の日の農作業によく使われていました。
今はあまり見かけなくなっています。
麦わら帽子の手入れ方法
麦わら帽子には水に弱い素材が多いので、水洗いは厳禁です。
また、変色や型崩れもしやすいですので、丁寧なお手入れが必要です。
天然素材の麦わら帽子
- 乾いた歯ブラシで表・内側の全体をブラッシングして、帽子全体のホコリや軽い汚れを取ります。
- 温めたぬれタオルを使って「スベリ」に付いた汗などを拭き取ります。
- かたく絞ったぬれタオルで、帽子全体を拭きましょう。ぬらさないように素早く拭きとることがコツです。
- 手入れが終わったら、風通しの良い日陰に置いてしっかりと干します。
洗濯バサミなどで挟むと型崩れの原因になります。平置きにしてくださいね。
ペーパーハットの場合
- 天然素材の麦わら帽子といっしょです。
- 天然素材の麦わら帽子といっしょです。
- ぬれタオルを使わずに、消臭スプレーを吹き付けたタオルで丁寧に拭いてください。
消臭と同時に除菌の効果もあります。 - そのあとは天然素材の麦わら帽子と同じように丁寧に乾かしましょう。
麦わら帽子の雑学あれこれ
日本の麦わら帽子、こと始め
日本で最初に麦わら帽子が作られたのは、明治時代です。
町役人だった河田谷五郎が外国人の帽子をまねて作ったのが始めといわれています。
その後、明治時代の大日本帝国海軍では下士卒夏服の帽子として採用されています。
一般に広まるのは、昭和3年にブラザーから「麦わら帽子製造用環縫ミシン」が発売されてからになるようです。
日本の2大産地
埼玉県と岡山県には専業メーカーが多く存在し、日本における麦わら帽子の2大産地になっています。
とくに埼玉県の春日部市では伝統手工芸品になっているほどです。
麦わら帽子が重要なアイテムとなる日本の映画
麦わら帽子が映画の中で重要なアイテムとなっているのは、日本を代表する推理作家のひとりである森村誠一の小説を映像化した「人間の証明」でしょう。
本格的なミステリー大作として、当時は話題を呼びました。
あらすじ
東京の高層ホテルで死亡した黒人青年ジョニー・ヘイワード(ジョー中山)の残した「キスミー」「ストウハ」という言葉を手掛かりに、棟居刑事(松田優作)たちが犯人を追いつめていきます。
しだいに明らかになってくる、日本とアメリカにつながる戦後日本の闇と母子の絆。
美しい日本の情景が広がる群馬県霧積(きりづみ)温泉郷を第2の舞台として、わずかな心のすれ違いが生んでしまった悲劇がせつなく描かれています。
この映画での麦わら帽子の役割
この映画では、麦わら帽子は事件の謎を解く大きなカギとしての役割を果たしています。
ジョニーヘイワードが残した2つの言葉のうち、「ストウハ」が「〇〇〇〇〇○〇(ネタバレになります)」のなまったものであること、そして「キスミー」が「〇〇」を指し示していることが判明したことで、、過去の霧積温泉での出来事が明らかになります。
それには、捜査の過程で発見されたボロボロの『西條八十詩集(さいじょうやそししゅう)』が重要な手掛かりとなっていました。
その詩集には、風に吹かれた麦わら帽子を谷底へと落としてしまった子供が母親へと語りかける心情が、読む者へせつなく訴えかけるように描かれていたのです。
この映画のキャストとスタッフ
制作年:1977年
制作:角川春樹事務所
原作:森村誠一
監督:佐藤純彌(1932~2019)
出演者;松田優作 岡田茉莉子 高沢順子 范文雀 ジョージ・ケネディ 夏八木勲 ジョー山中 他
音楽 大野雄二
主題歌 ジョー山中「人間の証明のテーマ」
あとがき
麦わら帽子の人気は、年々上がって来ているのではないでしょうか。
麦わら帽子を愛用する有名人も増えて来ているように思えます。
今や男女にかかわらず、夏のファッションの必須アイテムになりつつあるのかもしれませんね。
あなたに似合う、お気に入りの麦わら帽子を手に入れて、夏のお出かけを楽しんでみませんか。
丁寧に手入れをして、長く付き合っていけるようにしたいですね。