夏の風物詩でもある入道雲。
夏の記念写真には、海からわき立っているような白い入道雲と青い空を背景にして、にっこりピースサイン、なんて良くあったりしますね。
あなたもそのような写真を持っていたりするのでは?
でも、なぜ入道雲って夏に発生するのでしょうか?
そもそもどうしてこんな名前が付けられたのでしょう。
このブログでは、そんな入道雲の雑学と、怖い雷が発生した場合にどうすれば良いのかを書いてみたいと思います。
どうして入道雲なんて呼ばれているの?
昔の人は、妖怪の存在を信じていました。妖怪を目撃したという話は、日本各地に残っています。
もちろん、妖怪は現代の日本にもいるかも知れませんよ。なにしろ、いないとは実証されていないのですから。
その昔、「大入道」という妖怪が人々から恐れられていました。
姿かたちはお坊さんに似ているのですが、驚くべきはその大きさです。なんと!山ほどの大きさがあったそうですよ。
山よりもはるかに高く、人の姿のように、もこもことわき立つ雲を見て、昔の人は思ったのかも知れません。
「妖怪大入道が出た!」、と (笑)
そのためかどうかは分かりませんが、「入道雲」の名前の由来は「妖怪大入道」から来ているといわれています。
そんな話を聞いてからあらためて入道雲を見てみると、大入道がこちらをにらんでいるように見えてしまうので不思議です。
入道雲ってどうやって出来るの?
雲の出来方
空に浮かび、風に吹かれながら大空をゆっくりと流れていく白い雲。
そんな雲を見ていると、色々な形に見えて来ませんか。
あなたの家で飼っている猫ちゃんや犬くんの顔だったり、大好きなあの子の顔だったり。
でも、そもそも曇ってどうやって出来るのでしょう。
ここで簡単に説明してみますね。
まず、雲の正体はというと、それは小さな水滴や氷の粒が集まったもの、ということです。
その水滴や氷の粒は、もともと空気中に含まれていた水蒸気なんです。
地表の空気が太陽熱で暖められると上昇気流が発生し、暖められた空気は空高く上がっていきます。
高い空は気圧が低いため、暖められていた空気のかたまりは次第に膨張し、温度もどんどん下がっていくんです。
すると、水蒸気は空気中の「ちり」の周りに集まって、水滴や氷の粒になっていきます。不思議ですよね。
この水滴や氷の粒が集まって出来たものが「雲」と呼ばれるものなんです。
入道雲の特徴
入道雲は、正式には「積乱雲(せきらんうん)」と呼ばれています。
その積乱雲の元となるのは「対流雲(たいりゅううん)」と呼ばれる雲なのです。
対流雲は上昇気流が地表から垂直方向へ上がっているときに発生します。
上昇気流がそれほど強くないときには対流雲は「積雲」、つまり私たちが普段見慣れているような、空にポッカリと浮かんでいる雲になり、暑い夏の日のように地表が激しく暖められて上昇気流が強くなると「積乱雲」、つまりは入道雲となるのです。
だから暑い夏の日に入道雲を見ることが多いのですね。
大気の状態が不安定だと、入道雲はさらに大きく発達します。
*ちょっと寄り道 「層状雲と対流雲」
空の一定の高さに広がっている雲が層状雲、低空から高所まで、大きく伸びている雲が対流雲と呼ばれています。
具体的には、層状雲に属する雲としては、すじ雲やうろこ雲、雪雲などがあり、対流雲には積雲や積乱雲(入道雲)があるのです。
怖い雷、要注意!こうして非難しよう
注意しなければならないのは、発達した入道雲は雷をともなった激しい雨や雹(ひょう)を降らせることがあるということです。
なにしろ発達した入道雲の雲頂は、-20℃にもなるのですから。
雲の内部で上昇流よりも下降流が強まったとき、入道雲はくずれ始めます。
その時、雲の中ではプラスの電荷とマイナスの電荷がつくられて雷が発生。大きな音が鳴り響き、目もくらむような閃光が空を切り裂きます。
それに伴い雨や雹が地表に降り注ぐことになるのです。
とても怖いです。怖すぎです。
なので、もし不幸にも雷が発生した真っただ中に取り残されてしまったときにどうすれば良いのかを書いておきます。
参考にしてくださいね。
安全な空間
雷は高いところに落ちるものと思っている人が多いと思いますが、平野や海にも普通に落ちますので注意が必要です。
鉄筋コンクリートで出来た建物の中にいるときや、乗り物(車・バス・電車)などに乗っているときなら、雷が落ちても比較的安全です。
また、木造の建物内にいるときは、電気器具や天井、壁から1メートル以上離れるようにしてもらえれば安全でしょう。
運悪く外で雷に出会ってしまったら
雷に出会うのは、安全な空間にいるときばかりとは限りません。
むしろ外に出ているときに出会ってしまうことの方が多いでしょう。
そんな時、被害にあわないようにするためにはどうするのが一番よいのでしょうか。
まずは、背の高い物体を探しましょう。電柱、鉄塔、煙突などが有りますね。
次は、その物体を中心にして4メートル以上離れます。しかしその物体のてっぺんから地面への45°の角度に入る範囲からは出ないようにしてください。
その範囲(保護範囲といいます)に入ったら、身をかがめて出来るだけ低い態勢を取りましょう。
ただし決して寝そべったりはしていけません。
雷によって地面に電気が伝わってくる時があるので、地面への接地面は出来るだけ少なくする必要があるからです。
あとは雷が止み、しばらくしたら(おそよ20分くらいが目安です)移動しても大丈夫です。
それまでは、雷の大きな音と激しい光の恐怖にじっと耐え、落ちて来ないことを一緒に祈りましょう。
実際の雷事故の事例
2024年4月3日午後2時半をまわった頃、宮崎市にあるとある高校のグラウンドに、突然、轟音とともに雷が落下しました。
雷が落ちる少し前からゴロゴロという音は聞こえていたそうですが、イベントは続けられていたのです。
落雷の衝撃により、グラウンドに集まっていた100名以上の生徒や関係者の多くは倒れ伏し、そのうち生徒18人が救急搬送される事態になりました。
>> 関連記事 朝日新聞デジタル
この事故を解説した大阪大学の教授も、「建物を見上げたときの角度が45度以上になる場所は比較的安全で、この範囲内で姿勢を低くすることを勧める」としています。
あとがき
夏の風物詩として無くてはならないもののひとつ。それが入道雲ではないでしょうか。
暑中見舞いのはがきにも、青空を背景にして、海の上に浮かんだ入道雲が描かれていたりしています。
夏休みの絵日記などに入道雲を描かれた人も多いのではないでしょうか。
そんなに皆から親しまれている入道雲なのですが、雷をともなったときにはとにかく要注意 です。
雷被害にあわないように注意しながら、刻々と形の変化する入道雲を眺めて、夏の一日を感じてみませんか。