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夏の風物詩【夕立】:その成り立ちと季語としての魅力

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この頃は「夕立」という言葉をあまり聞かなくなり、かわりに「ゲリラ豪雨」という言葉をよく聞くようになりました。

昔から俳句の夏の季語としても詠まれている「夕立」。

この趣(おもむき)深い言葉が聞かれなくなっていくのは少し寂しい気持ちです。

この記事では、「夕立」が発生するしくみや名前の由来、そして「ゲリラ豪雨」との違いなどを、分かりやすく解説してみました。

また、日本の俳人たちが夕立を題材に詠んだ魅力的な俳句も紹介しています。ちょっとした解説文もつけていますので、ぜひ、参考にしてみていください。

夕立(ゆうだち)ってなに

外で運悪く夕立に遭遇すると、持っている傘が役に立たないくらいに激しく降られる場合もあります。不運としかいいようがありません。

ここでは、夕立とはどんな現象で、どのようにして発生するのかを解説していきます。

夕立-00

どんな現象?

夕立とは暑い夏の日の午後から夕方にかけてよくみられる天候現象です。

雷をともなうこともあるはげしいにわか雨で、普通は短時間でやむとされています。

発生するしくみは?

夏の強い日差しによって発生した雲が、上空の寒気との温度差によって不安定に状態になり入道雲(積乱雲)に発達していきます。

その発達した入道雲の下で「夕立」が発生するのです。

詳しくは、ぜひ下の記事を参考にしてみてくださいね。

夕立の名前の由来は

日本の夏には欠かせない存在とも言える「夕立」。短時間に集中的な雨が降るこの現象は、多くの人々にとって懐かしい思い出や風物詩として語り継がれています。

この名前の由来には、実はいくつかの説が存在します。何故「夕立」と名付けられたのか、また、地域や時代によって異なる名称や呼び名があることも興味深いポイントです。

ここでは、夕立の名前の背景や歴史に迫り、日本の夏の風物詩としてのその存在をより深く理解していきましょう。

伝わっている2つの説

「夕立」の名前の由来には、いかに紹介する有力な2つの説が存在します。

まずは、1つ目の説です。

そもそも、夕立の「」は、今でいう夕方とは違い、昼間から夜にかけて日が陰って来るというもっと幅のある事象を表す言葉だったようです。そして、「」は、「雲が立つ」つまり、雨を降らせる入道雲が立ち上がるということを表しています。

つまり、昔は日中に急に入道雲が上空に広がって日が陰り、今にも雨が降り出しそうになる天気のことを「夕立」と表現し、それが転じて、今では夏の暑い日の午後に突然降って来る雨のことを指すようになった、というものです。

2つ目の説は、昔に使われていた「彌降り立つ雨(いやふりたつあめ)」(雷をともなって急に降り出す雨のこと)という言葉が転じて「夕立」になった、という説です。

どちらの説にも信憑性がありそうですね。

夕立の別名

夕立には、「白雨(はくう)」「驟雨(しゅうう)」「村雨(むらさめ)」「銀竹(ぎんちく)」という別名が存在します。

日本語の深いおもむきが感じられる美しい言葉ですね。

ゲリラ豪雨とはちがうの?

夏の空を見上げると、突然の雨が降り出すことがあります。特に、日本の梅雨時期や夏に多いのが「夕立」「ゲリラ豪雨」です

これらは、一見似ているように感じられるかもしれませんが、実は性質や発生原因、影響範囲には明確な違いが存在します

夕立とゲリラ豪雨とのちがい

最近夏に降る雨というと、ほとんどが「ゲリラ豪雨」と呼ばれていますね。

では、「夕立」と「ゲリラ豪雨」の違いって何なのでしょう。

ひと言でいうと、雨の降る時間帯の違いです。

夏の午後から夕方にかけて降るにわか雨を「夕立といい、時間に関係なく午前中でも突然降って来るような雨を「ゲリラ豪雨」とよぶのです。

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急に降ってくるからびしょびしょにゃ♦   created by AI

ゲリラ豪雨はなぜ発生?

では、なぜゲリラ豪雨は発生するのでしょうか?

昔は、暑い夏といえども午後にならないと空気は温まらず、雨が降るのももちろん午後でした。

しかし現代は朝でも平気で突然土砂降りになったりします

 

原因は、地球の温暖化ヒートアイランド現象です。

ヒートアイランド現象とは、エアコンの室外機など、人工物から放出される熱のため、空気が暖められる現象なのです。

そのため、昼間だけでなく朝から空気が暖められることも少なくありません。

この熱により雲が発生。上空の寒気の影響で入道雲(積乱雲)に発達し、時間に関係なく激しい雨を降らせるようになったのです。

 

地球温暖化の影響もあり、今やエアコンを使わずに夏をしのぐのは厳しいといわざるを得ません。現代人は、エアコンのおかげで熱中症にもかからずに生活していくことができています。

しかし、それが水害をおよぼすようなゲリラ豪雨を生み出してしまうというのは、皮肉な話です。

知恵のある人類なら、何かもっと、地球にも私たちにも優しい方法を考えるべき時期に来ているのかもしれません。

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急に降ってきたにゃー!  created by AI

季語として俳句に詠まれる「夕立」

「夕立」というとても趣きのある言葉は、昔から夏の季語として俳句に詠まれてきました。

この言葉をきくと、なぜか古き良き日本の情緒を感じてしまいます

だからこそ、誰でも知っているような有名な俳人も、この言葉を季語に使って趣深い俳句を詠んでいるのでしょう。

夏の短くも激しい雨、夕立。その瞬時の美しさや涼しさ、そして時にはその力強さは、日本の俳人たちにとって魅力的な題材となっています。

ここでは、著名な俳人たちによる夕立を詠んだ俳句の数々と、それぞれの背景や意味を解説していきます

「夕立」を季語に詠んだ有名な俳人による俳句

小林一茶(こばやしいっさ)

「夕立や けろりと立し 女郎花」

この俳句は、夕立後の一瞬の晴れ間を感じさせるものです。夕立の後、一茶が目にした女郎花(おみなえし)が、雨の重みで垂れることなく、元気に立っている様子を「けろりと」と表現しています。

「夕立が 始る海の はづれ哉」

海辺での夕立の始まりを詠んでいます。夕立の雨が降り出す直前の緊張感や、その雄大な景色が伝わってくる一句です。

小林一茶とは

小林一茶(1763年 – 1828年)は、江戸時代後期の俳人です。独自の風格と感性を持った俳句の巨匠として知られています。一茶は生涯を旅に捧げ、その旅先での日常の出来事や風物を詠みこんだ句は、シンプルさとありのままの感性によって多くの人々に愛されています。

一茶は、人々の生活や感情をリアルに切り取った句を多く残し、それによって後の俳句界にも大きな影響を与えました。現代においても彼の作品は多くの人々に読み継がれており、日本の俳句文化の中で重要な位置を占めています。

正岡子規(まさおかしき)

「夕立や 砂に突き立つ 青松葉」

夕立の雨が砂浜に降り注ぐ様子と、その中で青々とした松の葉が立ち昇る姿を描いています。夏の海辺の情景と、強い生命力を感じさせる一句です。

「見てをれば 夕立わたる 湖水哉」

湖の上を移動する夕立の様子を静かに見つめる情景が描かれています。夕立の移動と、それを静かに見守る人の心情が交錯する一句です。

正岡子規とは

正岡子規(1867年 – 1902年)は、明治時代の俳人、詩人です。現代俳句の基礎を築いた人物として知られています。子規が、古典的な俳句の形式に新しい息吹を吹き込むために提唱したのが、「写生」という手法です。これは、直接的な感覚や体験をありのままに詠みこむというもので、この考え方は俳句界に革命をもたらしました。

短い生涯であったものの、子規は日本の俳句界に深い足跡を残し、その影響は今日に至るまで続いています。彼の作品や思想は、俳句を愛する多くの人々にとって不朽のものとなっています。

与謝蕪村(よさぶそん)

「夕立や 草葉を掴む むら雀」

夕立の中、草葉にしがみつく雀の姿を描いています。自然の中で生きる小鳥の強さと、その繊細さを感じさせる一句です。

「白雨や 門脇どのの 人だまり」

夕立を避けて、門の脇で集まっている人々の姿を詠んでいます。日常の一コマを切り取った、温かみのある一句です。

「ゆふだちや 筆もかはかず 一千言」

夕立の感動を、筆で表現することができないほどの美しさや感慨を示しています。言葉では言い表せない自然の美しさを表現する一句です。

与謝蕪村とは

与謝蕪村(1716年 – 1784年)は、江戸時代中期の俳人・画家として知られています。蕪村の特徴は、「自然体」と称される、自由闊達な俳句や画風です。彼の俳句は、自然の美しさや風物を素直な目で捉えたものが多く、その中には幽默や遊び心も垣間見えます。

蕪村は、俳句と画の両方で独自の世界を築き上げた芸術家として、日本の文化史に名を刻んでいます。彼の作品は、自由で開放的な感性を持つことの大切さを、現代の人々にも伝えてくれるでしょう。

芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)

「夕立や 土間にとりこむ 大万燈」

夕立が降る中、土間に灯された大きな灯籠の光が浮かび上がる情景を描いています。夏の夜の静けさと、夕立の雨音が絶妙にマッチした情緒深い一句です。

芥川龍之介とは

芥川龍之介(1892年 – 1927年)は、明治末から大正、昭和初期の日本を代表する短編小説家です。彼の作品は、独特の洗練された筆致や深い心理描写で知られており、多くの読者から愛されています。代表作は『羅生門』『鼻』『蜘蛛の糸』などです。それらの作品は、日本文学の中でも屈指の名作として認識されています。

残念ながら、芥川は34歳の若さで自らの命を絶ちました。しかし、その短い生涯に残した作品群は日本文学の宝として後世に受け継がれています。彼の名を冠した文学賞「芥川龍之介賞」も、新進作家の登竜門として現代においても非常に高い権威を持つ賞となっています。

高浜虚子(たかはま きょし)

「夕立や ぬれて戻りて 欄に倚る」

夕立に濡れて帰ってきた人が、欄干にもたれかかる情景を描いています。夕立後の涼しさや、濡れた身体の重さを感じさせる一句です。

高浜虚子とは

高浜虚子(1874年 – 1959年)は、明治から昭和にかけての日本の俳人です。正岡子規の下で俳句を学びながら、その後、独自の道を歩んで「ホトトギス」という俳句雑誌を中心に、近代俳句の発展に大きく寄与しました。

虚子は「季語を重んじ、定型を守る」という伝統的な俳句の形式を堅持し、その中での新しい詠み手法や表現を追求。彼の俳句は、自然の情景や日常の出来事を繊細に、そして深く詠みこんでいます。

また、虚子は俳句の普及活動にも力を入れ、多くの門下生を育てました。彼の影響下で育った俳人たちは、後の俳句界に大きな影響を与えています。

夕立と猫耳娘03

やっと降り止んだかにゃ♡   created by AI

おわりに

「夕立」を分かりやすく紹介してみたのですが、いかがでしたでしょうか。

夕立は、たんに夏の現象を表現した言葉ではなく、日本人の夏を思う気持ちの表れなのかもしれませんね。

雨が降ったあとにはきれいな虹がかかります。

夕立のあとの虹を探してみるのも楽しいかもしれません。

この記事が、少しでもあなたのお役に立ってくれると、とてもうれしく思います。

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