夏の風物詩は、と聞かれたら、最初に風鈴を思い起こされる人が多いかもしれません。
それほど風鈴は私たち日本人にとってはなじみ深いものになっているのですね。
「高岡風鈴」も、ガラス風鈴や南部風鈴と同じように日本人の生活に入り込み、暑い夏の日差しをその音色と見た目でやわらげてくれています。
今回は高岡風鈴についてのちょっとした雑学の記事です。もし時間があるようでしたら、少しお付き合いくださいませんか。
高岡風鈴って、いつからあるの?
「高岡銅器」の始まり
高岡風鈴は、富山県高岡市に古くから伝わる鋳物の工芸品「高岡銅器」を作る技術によって作られています。
高岡銅器は今から約400年の昔、西暦1600年の初めごろに加賀前田藩によって始まりました。
お寺の鐘や仏像などが多く作られ、花器や仏具に彫金をほどこした「唐金鋳物(からかねいもの)」は明治時代から広く外国にも伝わり、人気を博しています。
その後、高岡銅器の技術は錫(すず)や真鍮(しんちゅう)にも応用されるようになり、真鍮で作られる「高岡風鈴」が生み出されることになるのです。
「能作」の創業
1916年(大正5年)に、高岡銅器の製法を使い仏具や花器、茶道具を製造する会社「能作」が高岡市で創業されます。
昭和の後期に入ると自社製品の開発が進み、真鍮製の「ベル」が作られるようになりました。
素材も良く、見た目も美しかったベルですが、あまり売れなかったようです。
しかし、ひとりの社員のアイディアからそのベルに短冊をつけて「風鈴」として発売すると、驚くほどの数が売れるようになったといいます。
真鍮でできた「高岡風鈴」の誕生ですね。ですので高岡風鈴は「能作風鈴」とも呼ばれています。
高岡風鈴の特徴と音色
どんな外観をしているの?
真鍮で出来ている高岡風鈴は、とても美しい外見をしています。
軒先につるせば、陽光を反射してキラキラと輝くでしょう。
また、真鍮という素材の柔軟性から、ユニークな形の風鈴が数多く作られています。
タテに長いものやふっくらと丸みをおびたもの、麦わら帽子のような形をしたものから雪だるまのようなキャラクターものまで、実にさまざまです。
舌(ぜつ)につり下がっている短冊も、従来の長方形だけではなく人のシルエットをしたものなど、面白いものが多いですよ。
音色って
暑い日差しの中、そよ吹く風を受けて短冊が揺れ、舌(ぜつ)が外見(そとみ)に打ち付けられて、涼しげな音を響かせる風鈴。
その音色は、風鈴が作られている素材によって聞こえ方が違ってきます。
「高岡風鈴」は真鍮風鈴とも呼ばれるように真鍮で出来ているためか、その音色は高く澄みきっています。
りーーーーん、ちりりーーーーーんと長く響く余韻は、その場を浄化してしまうような、一種の厳粛さを感じることができますよ。
仏像や仏具の製造をなりわいとしてきた高岡銅器の流れをくんでいるからかもしれません。
どこで手に入れることができるの?
能作風鈴ともいわれる高岡風鈴は、「能作」の公式オンラインショップで手に入れることができます。
価格は5,000円から6,000円がほとんどですが、中にはちょっと変わった形状で7,000円台するものもあるようです。
また、Amazonや楽天などでも扱っていますね。価格帯は公式のオンラインショップとほとんど変わりありません。
ショップのサイトでは、じつに多くの高岡風鈴を見ることができます。
素材の柔軟性が生かされたさまざまな形の風鈴が展示されていて、見ていてもまったく飽きません。
どれを買おうか、本当に迷ってしまいますね。
夏の夜に響く涼の音色
風鈴の音色は、日本人にとってなくてはならないものになって来ました。
その清涼な響きは、実際に人の脳に働きかけ、涼しさを感じさせる効果があることが実証されています。
そんな、日本人の心ともいえる風鈴なのですが、中には風鈴の音色をうるさいと感じる人もいるようです。
そのような人に迷惑をかけずに風鈴の音色を楽しむには、「卓上風鈴」を手に入れましょう。
高岡風鈴にも、もちろん卓上風鈴が用意されています。
テーブルや机の上に置いて、安心して涼やかな音色を楽しめますよ。
まだまだ続く暑い夏の日。ぜひ、お気に入りの風鈴を手に入れたいものです。