予想もしていないときに突然発生する激しい雨と雷!その名の通り、まさに「ゲリラ豪雨」 です。最近では、「ゲリラ雷雨」とも呼ばれていますね 。運転しているときに、こんな前もよく見えなくなるほどの雨と、耳をつんざくような雷鳴に遭遇したら、普通ではいられないでしょう。
とくに、交通量の多い道を走っているときなどは、ちょっとしたスリップでも事故を引き起こすリスクが高まります 。気づかずに深みにハマり、水没などしたら最悪です。
そこで、今回は、ゲリラ豪雨に遭遇したらどうすればよいか、運転中に気をつけるポイントと対処法を紹介していきます。
スピードを落とし視界を確保しよう!
突然の豪雨で最も怖いのが、雨が激しすぎて視界が遮られることです。とくにスピードを出していると、ワイパーを最高速度で動かしてもまったく役に立ってくれません 。これは、スピードを出していると、フロントガラスに当たる雨の量が、通常よりも非常に多くなるのが理由です。
そこでまずは、視界が確保できるくらいにスピードを落としましょう 。気持ちを落ち着かせるためにも、まずは前方の状況をよく見れるようにする必要があります。
ゲリラ豪雨の雨粒の大きさや密度は、通常の雨に比べて非常に高いといわれています。そのため、視界を確保するためには、スピードもかなり落とさないとならない場合もあります。追突されないように、ハザードランプを何度が点滅させて後ろのドライバーに気づかせてから、ゆっくりとスピードを落としていきましょう。
十分な車間距離を保ちスリップに注意しよう!
スリップのリスクを避けるためにも、まずは前車との車間距離を広く取りましょう 。もしもスリップして、追突などしたら最悪ですからね。ここでは、スリップを起こしやすい状況や、気をつけるべき前車の動きなどを解説していきます。
スリップ注意!降り出してからの5~10分間はとくに危険
ゲリラ豪雨に遭遇したら、とくに降りはじめの5~10分間はスリップに気をつけて運転 してください。もし、道路の制限速度が50km/hであったとしても、この間は30km/h以下での運転が推奨されます。
なぜかというと、ゲリラ豪雨で路面が一気に濡れると、蓄積されていた油分や汚れが雨水と混ざり、路面に膜を形成する からなのです。この膜は非常に滑りやすく、ちょっとしたブレーキングやカーブの際などに、簡単に車がスリップします。そのため、慎重な運転が求められるのです。
ただし、降り出してから10分も過ぎると、雨の勢いによって路面の膜の多くは押し流されていきます。なので、少しは安心して運転できるようになるかもしれません。
ちなみに、路面に膜を作る原因となる油分や汚れは、車からのオイルやゴムの摩耗粒子などが多いとされています。
車間距離を保とう!前車が跳ね上げる水しぶきに要注意
ゲリラ豪雨時に、前車との車間距離をつめて走るのは、避けるのがおすすめです。跳ね上げられた水しぶきがもろにフロントガラスにかかり、さらに視界を悪化させる ことが多いからです。場合によっては、水しぶきのためにほとんど視界が効かなくなることさえあります。
車間距離をいつもよりも長く保つことで、このようなリスクは避けることが可能です。
突然の障害物!前車の動きに注意しよう
前車が突然進路を変えたり、急ブレーキを踏んだりしたら、路面に障害物があると予測 しましょう。ゲリラ豪雨時には、道路上に枝やゴミなどの障害物が流れてくることが、多くある のです。
前車の動きから、何かありそうだと予測できれば、慌てて急ハンドルや急ブレーキをする必要は減らせます。ある程度余裕を持って、迅速に対応できるでしょう。そのためにも、前車の動きを意識するのは、非常に役立ちます。
ちなみに、これはゲリラ豪雨のときだけではなく、通常の運転の際にも役立つ考え方です。
ゲリラ豪雨時のブレーキのかけ方とは?エンジンブレーキも活用しよう!
ゲリラ豪雨時には、路面が非常に滑りやすくなるため、ブレーキの使い方にも注意が必要です。ここでは、具体的な状況や方法をもとに、ブレーキの使い方について詳しく紹介していきます。
ハイドロプレーニングに注意!プレーキは段階的にかけよう
ゲリラ豪雨時のブレーキで最も気をつけたいのは、急ブレーキをかけてはいけない ということです。路面が大量の雨で濡れているときにいきなりブレーキをかけると、タイヤが水に乗ってしまうことがあります。すると、ブレーキを踏んでも制動力が効かなくなってしまう のです。これを、ハイドロプレーニング現象といいます。
ハイドロプレーニング現象を防ぐためにも、ゲリラ豪雨時には段階的にブレーキをかけるようにしましょう。ブレーキペダルを一気に踏むのではなく、何度かに分けて強く踏むのが効果的です。
制動力の低下を防ぐ!エンジンブレーキを活用しよう
長い間ブレーキを踏み続けると、ブレーキパッドが熱を持って、制動力を極端に低下させる 原因となります。これは、ゲリラ豪雨時でも同じです。とくに、長い下り坂などで起きやすいので、注意しましょう。
この現象を防ぐには、エンジンブレーキの活用が有効です。具体的には、ギアを意識して下げることでエンジンの抵抗を利用し、プレーキペダルを踏む回数を減らします 。これにより、ブレーキのオーバーヒートを防ぎ、制動力の低下を防ぐことが可能です。
ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)の注意点
ABS付きの車の場合、ブレーキを強く踏んだときにABSが作動 します。ABSは、タイヤのロックを防ぎながら最大の制動力を発揮させるために必要な装置 です。そして、ABSが作動している間は、ブレーキペダルを緩めずに踏み続けるようにしてください。
なぜかというと、ABSが作動するとプレーキペダルが小刻みに振動するため、驚いて力を緩めてしまう人が多いためです。振動を感じても慌てずに、しっかりとブレーキペダルを踏み続けるように しましょう。
ヘッドライトとワイパーを最大限に活用しよう!
ヘッドライトとワイパーは、ほかの車にこちらの存在を知らせる と同時に、ゲリラ豪雨の中で視界を確保する ための重要な手段です。とくに、以下のことを意識して活用すると、より効果があります。
- ヘッドライトを早めに点灯する
- ワイパーの速度設定を適切にする
- ハイビームを避ける
- フォグランプを活用する
ゲリラ豪雨に遭遇した場合、たとえそれが昼間であっても、ヘッドライトを早めに点灯する ことで、ほかの車や歩行者に自車の存在を効果的に知らせることができます 。
ワイパーの速度を適切にするのは、視界を確保する上で重要です。たとえば、雨が強いのにワイパーの速度が遅いと、視界が適切に確保できません。また、逆に雨が弱くなっているのにワイパーの速度が速すぎると、フロントガラスを傷つける原因ともなります。
ゲリラ豪雨時には、ハイビームを使用すると雨粒に光が反射し、かえって視界を悪化させがちです 。また、対向車にとっても眩しさの原因となります。そのため、雨の中ではロービームを使用し、ほかの車との安全な距離を保ちながら運転するのが推奨されます。
車にフォグランプが装備されているのなら、ぜひ活用しましょう。フォグランプは低い位置から照射されるため、激しい雨の中でも比較的良好な視界を確保することができます 。ただし、使用方法やタイミングを誤ると、ほかのドライバーや歩行者に眩しさを感じさせることもあるため、注意が必要です。
以上のように、ゲリラ豪雨時において、ヘッドライトとワイパーを正しく使用するのは、自らの安全だけではなく、ほかのドライバーや歩行者の安全を確保する上でも非常に重要 です。常に最適な設定や使用方法を心がけ、安全な距離を確保しながら運転を行いましょう。
冠水道路の危険性を知っておこう!
冠水した道路や深い水たまりの危険性を知っておくことで、車へのダメージや事故のリスクを減らすことができます 。知っておきたい危険性は、おもに以下のようなものです。
- エンジンへの水の浸入
- ブレーキの効きの低下
- 走行安定性の低下
冠水した道路を通過する際、エンジンに水が入り込む可能性 があります。とくに、エアインテークが低い位置にある車種は、浅い水たまりでもエンジンに水が入りやすいのです。水がエンジン内部に入ると、エンジンが大きなダメージを受ける可能性 があります。
冠水した道路を走ると、ブレーキの効きが悪くなりがち です。これは、水や泥がブレーキディスクやブレーキパッドに付着すると、制動力が低下するためです。冠水した道路を走らなければならない場合は、十分に注意しましょう 。
水の中を走行すると、タイヤと路面の接地面積が減少し、車が浮く「ハイドロプレーニング」現象が起こる可能性があります。冠水した道路では、とくに起きやすい傾向があるので要注意です。速度が速いほど起きやすいので、スピードを緩め、慎重に運転しましょう 。
また、深さの判断が難しい水たまりは、可能なら走行を避けるのが無難です。というのも、思ったよりも深さがあり、ハマって抜けられなくなるリスクがあるためです。
以上のように、冠水した道路は危険が多いため、可能なら冠水していないルートをとるのが最も安全です。しかし、そうもいかない場合は、常に安全運転を心がけ、リスクを最小限に抑える行動をとるようにしましょう。
情報を常にチェックしよう!
ゲリラ豪雨は、予想もしないときに遭遇する場合が多いものです。そのため、ラジオやスマートフォンを利用して天気や交通情報を常に確認する習慣を付けておくのがおすすめ です。
情報を確認するには、おもに以下のような方法があります。
- カーラジオ
- スマートフォンアプリ
- 道路情報提供サービス
- 周囲のドライバーからのサイン
運転中に天気や交通情報を確認する最も手軽な方法は、カーラジオを利用 することです。たとえば、NHKラジオや主要なFM局では、定期的に天気や交通情報を放送しています。
現代のスマートフォンでは、天気や交通情報をリアルタイムで取得できる アプリを利用可能です。例として、「Yahoo!天気」や「Googleマップ」は、即時の天気予報や交通渋滞情報を確認することができます。ただし、運転中のスマートフォンの操作は大変危険ですので、必ず停車してから情報を確認しましょう 。
一部の地域や高速道路では、公式な道路情報提供サービスが設けられています。これらのサービスを通じて、道路の冠水情報や工事情報など、運転に関連する重要な情報を得ることが可能です。
また、実際の運転中、前方の車が急に減速したり、ハザードランプを点灯させている場合、何らかの異常や障害が発生している可能性が高い でしょう。このようなサインを見逃さないよう、注意を払いながらの運転を心がけましょう。
終わりに
ゲリラ豪雨は、予測するのが難しく、突然発生することが多いため、車の運転には十分な注意が必要です。ゲリラ豪雨が予測される場合は、できるだけ車の運転を控えることが最善策です。しかし、もしも遭遇してしまった場合は、自分とほかのドライバー、そして歩行者の安全を確保できる運転を心がけることが大切でしょう。